今の季節、周りの田んぼは田植えをしてから1ヶ月ちょっと。
私は稲作を止めて3年目で、管理休耕をしています。
草がすぐ茂るので管理も大変です。
畦の草刈から、草の片づけ、そして田んぼの耕作。
それをしているなら、稲作した方が良いと思われるかもしれませんが、すればするほど赤字になります。
兼業農家なので、赤字になった分は、サラリーマンの給料で補填します。
なぜ赤字になるかというと、まずコメの出荷値段が安いこと。
昔の半額。
10a(1,000㎡)当たりの収穫量は全国平均で8俵半の約510kg。
私のところは、土地改良後は7俵しか収穫できませんでした。
コメの出荷値段が13,000円ぐらいから10,000円。
例えば30aの3,000㎡を稲作したとして、高額の13,000円で全国平均で収穫できたとして、
13,000円×8.5俵×3=331,500円。
経費はというと。
農機具がかかります。
田起こしや代掻きに、トラクター。
田植えに、田植え機。
稲刈りに、稲刈り機またはコンバイン。
稲刈り機だと、稲穂を取る機械も必要。
コンバインは高額になるので、周りの方は委託しています。
それに、プラス田肥えや、除草剤。
除草剤は、苗を植えてしばらくすると撒きますが、これは最低限のことです。
肥え代も除草剤も結構かかります。
収穫できると、稲穂の脱穀。
次に籾摺り。
そして乾燥調整。
脱穀から籾摺り、乾燥調整も外注が当たり前になりました。
他に苗代。
近頃では、自分で苗を育てる方は少なくなりました。
ほとんどの方が購入します。
他の経費もありますが、人件費はタダとしてこれだけかかります。
農機具は少なくても多くても必要です。
一昔前は、2〜3人で買って共同に使っていたことも多かったのですが、兼業農家ですと、どうしても休みの日が重なることもあり、不便になり次第に少なくなっていきました。
子どもの頃とずいぶん変わりました。
家族みんなで行ったり、
稲穂をハザを作って干したり、
自宅で脱穀や籾摺りをするようなことはなくなってしまいました。
大型化になり早くできるので、費用はかかっても頼んでしまうようになりました。
その方が楽なので。
そうなってきて、さらにお米の値段も下がってきたので。
例えば1haの10,000㎡を作ったとして、
13,000円×8.5俵×10=1,105,000円です。
私の周りで1haの10,000㎡を作っている方は、兼業農家さんでまず見かけません。
ここから経費を除いたら、どれだけ残ることでしょうか。
農家は稲作だけの収入ではありませんが、この収入を考えると、サラリーマンとして働いた方がぐっと割が良いと感じます。
稲作をするより畑作をする方が、もっと管理が悪くなります。
もっと大変になります。
昔のように、収入を補うため、2期作、2毛作する方も見かけません。
稲作で収入を得るより、働きに行った方が良いので、そちらの方に移行しました。
農業の中の稲作に危機感を感じております。
このような状況の中で・・
次の世代の後継者はいるのか?
次の世代になったら、ガクッと止めてしまうと思います。
もう一つ気になっていることがあります。
今まで、田の土地改良政策は、20aの2,000㎡が基準で進んで来たと思いますが、今後は1haの10,000㎡または50aの5,000㎡を基準に進めているようです。
1haまたは50aの田んぼを持っている方も少ないので、1haまたは50aの田を作った場合、その田の中に、この部分は誰々の名義、この部分誰々の名義と一つの田の中に所有者が何人もいるようになるようです。
その中で、農業を何年先、続けるか、放棄するかの意向調査も行っているそうです。
結局は、大農家にしないとやっていけなくなっています。
土地改良をする場合、多額の費用がかかります。
昔なら5年据え置きの20年払いの制度で行われていましたが、現在のこの状況では、大きな借金ができ、稲作で返済することが困難なのでやらないということになります。
そこで、河川改修、道路整備を含めて工事を行い、農家には費用がかからないを前面に出してきています。
ただし、所有していた面積と、もらった時の面積の差は、調整金がかかります。
河川改修、道路整備を含めた工事でも、それだけでは補えないので、持っていた面積より少なくなります。
自給の観点から。
この政策が進んだとしていつまで継続できるでしょうか?
もう少し、お米のが値段が高くなれば、小作でありながら続ける方もいると思いますが・・
赤字を延々に続けるでしょうか?
救い手となる農業法人は、本当にうまくいくのでしょうか?
米農家に明るい未来はあるのでしょうか?
私が思うことは、もう少しコメの値段を上げて欲しい。
購入者からすれば安ければ安いほどいいとは思いますが、生産者からは今の価格は安すぎると感じているはずです。